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【医療過誤裁判例】未破裂脳動脈瘤・見落とし


2020.10.08お知らせ

頭部MRA画像の右内頚動脈後交通動脈分岐部に動脈瘤と診断できる所見を見落とした過失があることを病院も認めており、以下の点が争われた事案です(神戸地裁平成31年4月9日判決、医療判例解説87号)。

①直ちに未破裂脳動脈瘤に対する外科的治療を受けたといえるか

②経過観察をして、適時に脳動脈瘤に対する外科的治療を受けたといえるか

判決は以下のように述べています。

①について「このような外科的治療と保存的治療(経過観察)との利害得失の衡量に加え、原告の年齢などを勘案すれば、原告は、外科的治療を検討してもよい症例ともいえる一方で、破裂リスクが治療リスクと比べて極めて高いとはいえず、医師において積極的に外科的治療を勧めるべき患者であったとまでは認めがたい。そして、原告と同じ立場(年齢・性別・症例・背景因子等)に置かれた通常の患者が・・・破裂リスクが治療リスクを上回ることの一事をもって、外科的治療を選択した高度の蓋然性があるということはできない。また、統計資料によっても、高齢者で外科的治療を受ける者の割合は有意に少なく・・・こうした統計数値に照らせば、高齢者の場合、本件脳動脈瘤と同部位又は同程度の脳動脈瘤が存在することを告知されても、保存的治療(経過観察)を選択する患者が一定数存在することがうかがわれる。」

→リスクの比較や高齢者が外科的治療を受ける割合に関する統計などに基づいて判断しています。

②について「もっとも、脳動脈瘤の増大は、時間の経過に対して一定の傾向を有するわけではなく、不規則・不連続に起こるものであることからすれば、仮に、本件診察時に本件脳動脈瘤が発見され、同日から3ヶ月ないし半年後に画像検査を受けたとして、3ヶ月ないし半年後の検査において増大が確認され、外科的治療を選択した高度の蓋然性があったということはできない。」

→患者側としては、各資料から3ヶ月ないし半年後の脳動脈瘤の状況を推測することになるのですが、実際には検査がされていないので証明に苦労する部分です。

以上①②が因果関係といわれる問題点になるのですが、その点はいずれも否定されました。

結論としては「原告は、これに引き続く本件脳動脈瘤に対する治療方法に関する説明を受けることができず、外科的治療を選択する機会を奪われ、原告の自己決定権が侵害されたと認められる。」として慰謝料300万円を認めています。

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