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読書

【読書】お気の毒な弁護士


2021.04.04

「お気の毒な弁護士-最高裁判所でも貫いたマチ弁のスキルとマインド」(山浦善樹著、弘文堂)

最高裁判所裁判官に任官されるような方は、いったいどんなマチ弁のスキルとマインドを持っているのか知りたいと思い、この本を手に取りました。

読みながらアンダーラインを引いた箇所を記録します。

マチ弁とは「目の前にいる依頼者(市民)の不安を取り除き、少しでも良い生活ができるように支援するという姿勢で仕事をする弁護士のことをいいます。」

「弁護士は、その結果が重要であることは言うまでもありませんが、それだけではなく、それによって新しい人生を歩み出すための応援、私は「対人援助業」と言っていますが、その部分を見失ったら、勝った負けたという、ただの技術者に墜してしまうのではないでしょうか。・・・法律家ですから、依頼者の話に心を傾けて傾聴し共感するだけではなく、事案解明のための調査、研究をし、事故の実相を解明するために依頼者と一緒になって汗を流すという姿勢、意気込みが必要だと思います。」

「お金はあると役には立つが、人生の目標はお金ではない。お金を目標として生きるのではなく、金銭は一つの道具にすぎない。だから弁護士にとっては、法律だけでなく、目の前にいる依頼者が持っている夢や希望、好きな人との約束が実現するよう応援し、また他人には理解されないかもしれない心の隙間を理解し、一緒になって新しい生き方を探るという姿勢を持ち続けることが大切で、それがマチ弁の仕事なのです。」

「実際にあったことは、必ず何らかの証拠が残っているはずだから、色々と調べ、現場に行き、関係者から事情をうかがって記憶を探り、コツコツ資料を集めることが可能だという信念のようなものがある。何もないということは探す力がない、努力が足りない、と自分に言い聞かせてきました。」

「依頼者は最良の証拠であり、現場や依頼者の記憶には必ず痕跡が残っている」

「できる限りの努力をして事実を調べたうえで、その事実(分かった範囲で)に基づいて紛争を解決することが大事です。事実が明らかになれば、当事者も冷静に事件を見つめることができる。紛争はおのずと解決する方向に動き出します。」

「弁護士は、他人の人生に関する大事な揉め事を扱うのですから、証拠集めはこの程度でいいや、ということはあり得ないと思います。次に、弁護士ビジネスは事務所経営という視点を無視できないから、そこまで手間暇をかけてやれない、割が合わないという意見もあります。確かに一件一件をみるとそういうこともあるでしょう。でもこれは後で触れますが、事件単位で損得を計算することから来る間違いです。」

「誠実に仕事をしてくれたという好感度は、必ずその人の口から周辺の人に次から次へと伝わっていく。良い仕事をすればなおのこと、口コミの威力はすごい。インターネットに書かれた(あるいは自分が書いた)見せかけの評判とはわけが違う。スピード感や手っ取り早さはないが、確実に依頼者は次へと広がって、雪だるまのように大きくなる。」

「人はいくら賢くても、いくら想像力があっても、実際に経験したり、実物を見てからじゃないと本当のところは分からない」

「弁護士や裁判官の悪い癖ですが、「見なくても分かる」という人がいます。確かに分かる。でも見え方が違う。」

「弁護士も裁判官も事実を扱う仕事ですから、目の前の事実に好奇心がないと良い仕事はできません。同じような事件に見えても、実はそれぞれ別の事件です。同じものはないのです。」

「本は、いくらでも読もうと思えば読めるけれども、それでは悩んでいる市民の生活など社会の実態は分からない。」

「裁判官の一言一句を聞き漏らさぬように注意をし、釈明を受けると全力投球でその意図を考えて主張や立証活動を検討するということの繰り返しだった。自分の考えを言い、裁判官の意図が分からなければ質問するという姿勢を繰り返したことが、大勢の裁判官から真面目な弁護士という評価を受けたのかもしれません。」

「第一審の訴状からの文書は全部裁判官の机の上に届きますから、上告理由書で「そもそも、本件事案の本質は次のとおりである」から始まって、事情や証拠についてこまごま記述した上告理由書を拝見しますが、それを読むと、代理人は最高裁判所には裁判記録が付いてこないとでも思っているのかなと疑問に思います。全部そろっていますから、いきなり上告理由について述べて良いのです。裁判所は、上告理由書があまりに長すぎると、限られた時間内では読み切れませんから、要約書面を付けるようにお願いしています。」

「訴訟を提起するとき、訴状、答弁書、準備書面のすべてについて、将来、これらの書面を最高裁判所の裁判官が読むことがあり得るという意識が必要です。」

「弁護士は、自陣から見るのは慣れていますが、相手の立場(相手方当事者や裁判官)から自分の側を観察し、弱点や偏り、間違いがないかと考えることが苦手です。」

「効率的に多くの成果を得ることに偏っているのか、汗をかくとか、事件現場にいくとか、一つひとつの事実にこだわるとか、大事なものが見失われているように感じます。事務所経営者や指導者自信も、急がば回れとか、神(真実)は細部に宿るとか言われていることを忘れていると思います。効率を優先するあまり、多少のことは手抜きをして・・・という気持ちでは、真実を見つけることは無理です。」

「現場にも行かず、時系列も書かず、ブロック・ダイアグラムも書かず、当事者のこれまでの人生や価値観を確かめもせず、「では至急、訴訟を提起しましょう」と言う弁護士が町にあふれているのではないかな。」

「どんなに「腕」が良くても依頼者の「心」をつかめない、そういう弁護士がいくら裁判で勝っても本当に依頼者が抱えている問題を解決したことにはならないということが分かりました。」

最高裁判所での話など、他にアンダーラインをした箇所はありましたが、弁護士として忘れていないけないスキルとマインドを中心に抜き出しました。

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