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お知らせ

東京地方裁判所医療集中部における事件概況等(平成31年・令和元年)


2020.11.02お知らせ

法曹時報72巻7号では東京地裁医療部における平成31年1月1日から令和元年12月31日までの医療事件第一審の概況等がまとめられている。

 

統計的なデータ及びそれに対する評価は以下のとおり

 

新受件数 141件(平成22年以降140件から160件前後で推移)

平均審理期間 24.6月

診療科目(新受件数のうち) 歯科30件(21.3%)、内科26件(18.4%)、外科(17.7%)

・内科の内訳は消化器10件、循環器及び呼吸器が各4件

・外科の内訳は消化器及び脳神経が各8件、循環器7件、呼吸器1件、その他1件

事件の終局 判決率30.9%、和解率57.0%(尋問前に成立75.5%)

・審理期間が長い事件ほど判決率が高くなる傾向

・尋問前の和解が多いのは、①診療録や医学文献から診療経過や医学的知見を客観的に認定し、確度の高い心証を形成でき、②医療従事者の尋問を回避する意向などが理由として挙げられている。

(一部)認容率 21.6%

判決に対する上訴の比率 68.8%

和解の内訳 請求額の20%未満の金額での和解が全体の54.3%

・和解によって終局した事件の中には、裁判所が医療機関側に賠償責任があるという心証を抱いた事件が相当数あり、その多くが判決ではなく和解によって終局しているため、判決における認容率及び認容額が少なくなっているものと考えられる

 

統計的データ以外については以下の指摘があった。

①医学的知見の獲得

・医学文献の例としては、国内外の医学論文や医療従事者向けの教科書のほか、薬剤の添付文書や各学会の公表する診療ガイドラインを挙げることができ、これらは一般的な知見を獲得するのに有用である。

・医学文献は、あくまで一般的な知見を示すものにすぎないため、患者の症状や検査画像に基づく具体的な評価が問題となる場合には、これだけでは心証の形成が難しいことがある。

②協力医の意見書

・患者の具体的な症状等に基づく評価を示すことができるため、強力な証拠となり得る。

・意見書の提出される事件が追分ではない。既済事件165件のうち58件(35.2%)で意見書が提出されている。

・医療機関側から提出されることが少ない傾向にあるのは、医療機関の担当医師が「陳述書」の中で医学的知見を示すことで足り、あえて外部の協力医に「意見書」の作成を依頼する必要性が乏しいと感じられるからではないかと推測される。

・意見書を作成する時期としては、争点整理の中盤から終盤が一般的である。

③専門委員・鑑定

・専門委員が関与した事件は既済事件165件のうち9件(5.5%)

・鑑定が実施された事件は既済事件165件のうち16件(9.7%)

④説明義務違反

・説明義務違反が主張された事件は既済事件165件のうち66件(40.0%)

⑤他庁との協議会

医学的機序の位置づけ(因果関係との関係)、疾病の見落とし事案における慰謝料算定の考慮要素、救急診療における稀な疾患に関する注意義務の設定の在り方、終末期医療をめぐる争点整理上の問題点(厚生労働省ガイドラインに基づく主張の位置づけ等)、歯科事件における争点整理上の工夫例、協力医の意見書の評価といった事項について意見交換が行われた。

 

これらは裁判手続に進んだ場合のデータです。

ご依頼いただいた事件全てが裁判手続に進むわけではなく、示談交渉によって話し合いで折り合える事件も多くあります。

裁判手続に進む場合には、こういったデータを踏まえて、どれだけの期間や費用がかかるのか、といったことを説明させていただいています。

 

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