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お知らせ

【医療過誤裁判例】CO2ナルコーシス・顛末報告義務


2020.10.23お知らせ

札幌地裁令和2年3月25日判決の備忘です(医療判例解説vol,88)

 

この事例では、CO2ナルコーシスを発症することを予見でき、その時点で動脈血液ガス検査を実施する義務等が争われています。

しかし、そもそもの前提として、CO2ナルコーシスに陥って死亡したとは認められず、過失は認められませんでした。

このように病院側の過失を判断する前提となる事実(本件では死因)に争いがある事例も少なくありません。

こういった事例では、前提となる事実で患者側の主張が認められなければ、言い分の前提を欠くことになるので、過失等の主張も認められないことになります。

 

そして、顛末報告義務については、以下のように述べています。

「準委任契約である診療契約に基づく医療行為において悪い結果が生じた場合、患者は、その原因等を知る法的利益を有しており、医療従事者は、民法656条、645条に基づき、てん末報告義務として診療契約の経過及び結果について報告すべき義務を負うと解されるが、個別具体的な医療行為に関する事項については、当該患者又はその遺族が医療従事者に対してこれらの事項について説明を求める意思を明示又は黙示的にでも明らかにしていない場合において、これらの事項についての説明をしなかったとしても、直ちに当該患者又は遺族の上記法的利益が侵害されたとまではいえないというべきである。」

「そこで、てん末報告義務の対象となる事項の具体的内容は、当該患者の合理的意思も踏まえ、個別具体的な事案に応じて判断すべきである。」

以上の判断基準を前提に、患者側が「詳細な説明を受けたいとの意思を有していたとは直ちに認められず」「各事項について説明すべき義務を負っていたとは認められない」と結論付けました。

 

顛末報告義務が争われた事例として、大阪高裁平成25年12月11日判決があります。

この事例では結論として、顛末報告義務違反が認められ、一人あたり20万円の慰謝料が認められています。

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