患者の言葉よりカルテが信用されるのか
2020.09.17お知らせ
ご相談を受けていると、実際に受けた診療内容や説明とカルテの内容が違うという話を聴きます。
裁判では、患者やご家族の話が信用されるのでしょうか。それともカルテが信用されるのでしょうか。
例えば裁判例(名古屋地裁令和元年9月11日判決)では以下のように言われています。
「診療録等は,診療行為の都度,医師等の医療関係者によって経時的に作成され,診療上の必要性及びその医療関係者の責任に基づいて作成されるものであるから,その記載内容は,それが他の証拠と矛盾するなどの特段の事情がない限り,信用性を認めることができると考えられる。」
原則カルテは信用でき、他の証拠と矛盾する場合は例外的に信用できないと判断しています。
カルテが間違っているというためには、他の医療機関の診療録に書かれている内容や検査結果などとの矛盾を見つける必要があります。
もちろん患者、ご家族の話を前提に考えていきますが、矛盾を見つけるのは容易ではありません。
裁判で判断するのは裁判官であり、その裁判官が原則カルテは信用できると考えている以上、カルテが信用されることを前提に理論構成する必要もあると考えています。
患者、ご家族の話が信用されるパターンとカルテが信用されるパターンの両方を検討し、裁判での戦い方を考えていきます。