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お知らせ

東京地方裁判所医療集中部における事件概況等(令和4年)


2023.10.05お知らせ

法曹時報75巻7号では東京地裁医療部における令和4年1月1日から令和4年12月31日までの医療事件第一審の概況等がまとめられている。

統計的なデータ及びそれに対する評価は以下のとおりです。

 

新受件数 153件(近年は140件から160件程度で推移)

平均審理期間 19.3月(令和3年は24.6月)

 

診療科目(新受件数のうち) 内科37件(24.2%)、歯科(含口腔外科)27件(17.6%)、形成外科(含美容)21件(13.7%)、外科16件(10.5%)、整形外科13件(8.5%)

・内科の内訳は消化器10件、循環器6件、脳神経4件、呼吸器2件、その他15件

・外科の内訳は消化器7件、脳神経4件、循環器1件、呼吸器1件、その他3件

 

事件の終局 判決率40.5%(増加傾向)、和解率51.3%(減少傾向)

・和解100件のうち、尋問前に成立79件(79.0%)、尋問後に成立19件(19.0%)、鑑定後に成立2件(2.0%)

・審理期間が長い事件ほど判決率が高くなる傾向に変わりなし

・尋問前の和解が多いのは、①診療録や医学文献から診療経過や医学的知見を客観的に認定し、確度の高い心証を形成でき、②医療従事者の尋問を回避する意向などが理由として挙げられている。

 

(一部)認容率 17.7%

判決に対する上訴の比率 67.6%

和解の内訳 請求額の20%未満の金額での和解が全体の72.0%を占め、請求額と比較して低額での和解が多い傾向が見られる

・和解によって終局した事件の中には、裁判所が医療機関側に賠償責任があるという心証を抱いた事件が一定数存在し、その多くが判決ではなく和解によって終局しているため、判決における認容率及び認容額が少なくなっているものと考えられる

 

統計的データ以外については以下の指摘があった。

①協力医の意見書

・患者の具体的な症状等に基づく評価を示すことができるため、強力な証拠となり得る。

・令和4年は既済事件195件のうち78件(40.0%)で意見書が提出されている。

・意見書を作成する時期としては、争点整理の中盤から終盤が一般的である。

②専門委員・鑑定

・専門委員が関与した事件は既済事件195件のうち6件(3.1%)(全国では4.8%)

・鑑定が実施された事件は既済事件195件のうち4件(2.1%)(全国では5.8%)

 

これらは裁判手続に進んだ場合のデータです。

ご依頼いただいた事件全てが裁判手続に進むわけではなく、示談交渉によって話し合いで折り合える事件も多くあります。

裁判手続に進む場合には、こういったデータを踏まえて、どれだけの期間や費用がかかるのか、といったことを説明させていただいています。

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