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お知らせ

東京地方裁判所医療集中部における事件概況等(令和5年)


2024.07.16お知らせ

法曹時報76巻7号では東京地裁医療部における令和5年1月1日から令和5年12月31日までの医療事件第一審の概況等がまとめられている。

統計的なデータ及びそれに対する評価は以下のとおりです。

 

新受件数 138件(全国604件)

平均審理期間 19.1月(全国26.6月)

※「未済事件の平均審理期間及び審理期間別事件数の減少の背景には、様々な要因が複合的に関与していると思われるが、迅速な審理を実現するための種々の工夫や努力の成果が表れた側面もあると思われる。」

 

診療科目(新受件数のうち) 内科33件(23.9%)、歯科(含口腔外科)25件(18.1%)、形成外科(含美容)21件(15.2%)、外科13件(9.4%)、看護・介護上の過失9件(6.5%)

※昨年までは整形外科が外科の次に多かったが、看護・介護上の過失が問題となる事案が増えているようである。

・内科の内訳は消化器10件、循環器7件、呼吸器4件、脳神経3件、その他9件

・外科の内訳は消化器5件、脳神経3件、循環器1件、呼吸器0件、その他4件

 

事件の終局 判決率37.1%(昨年より減少)、和解率57.7%(昨年より増加)

・和解101件のうち、尋問前に成立72件(71.3%)、尋問後に成立25件(24.8%)、鑑定後に成立4件(4.0%)

・審理期間が長い事件ほど判決率が高くなる傾向に変わりなし

・尋問前の和解が多いのは、①診療録や医学文献から診療経過や医学的知見を客観的に認定し、確度の高い心証を形成でき、②医療従事者の尋問を回避する意向などが理由として挙げられている。

 

(一部)認容率 16.9%

判決に対する上訴の比率 64.1%

和解の内訳 請求額の20%未満の金額での和解が全体の66.3%を占め、請求額と比較して低額での和解が多い傾向が見られる(以前と変わりなし)

・和解によって終局した事件の中には、裁判所が医療機関側に賠償責任があるという心証を抱いた事件が一定数存在し、その多くが判決ではなく和解によって終局しているため、判決における認容率及び認容額が少なくなっているものと考えられる

・約8割が棄却判決であって、認容判決であっても医療機関側に1000万円を超える高額な賠償責任を認めるものは少ない。

 

統計的データ以外については以下の指摘があった。

①医学的知見の獲得

・代理人弁護士(特に患者側代理人)が医療事件に不慣れなため、医学的知見の獲得に難渋し、主張が明確化されるまでに時間を要することがあり、争点整理が長期化することもある。

②協力医の意見書

・令和5年は既済事件175件のうち69件(39.4%)で意見書が提出されている。

・意見書を作成する時期としては、争点整理の中盤から終盤が一般的である。

 

これらは裁判手続に進んだ場合のデータです。

ご依頼いただいた事件全てが裁判手続に進むわけではなく、示談交渉によって話し合いで折り合える事件も多くあります。

裁判手続に進む場合には、こういったデータを踏まえて、どれだけの期間や費用がかかるのか、といったことを説明させていただいています。

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